外国人の雇用は難しい?雇用の流れやスムーズな手続きを実現するポイントを解説!
日本では近年、外国人雇用が活発化してきています。これから外国人雇用に注力したいけれど、受け入れの流れや手順が分からないという企業は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、企業が外国人を雇用する際の流れや留意点を解説します。記事後半では、確認すべきポイントも紹介。外国人を採用・雇用する際の参考となる情報をお届けします。
日本の外国人雇用の現状
厚生労働省が発表した資料によると、令和4年10月末時点での国内の外国人労働者数は182万人となっており過去最高を更新しています。東南アジアを中心に労働者が急増しており、国内への受け入れが進んできている状況です。
また、外国人を雇用する事業所数は、298,790 所で、前年比 13,710 所増加となっており過去最高を更新。コロナ禍の影響で対前年増加率は 4.8 %と、前年の 6.7 %から 1.9 ポイント減少したものの、外国人雇用の需要が高まりつつあることが伺えます。
参照元:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)
特定技能外国人の受入れ
2018年に成立した改正出入国管理法に基づき、在留資格「特定技能」が創設されました。2019年4月より特定技能外国人の受け入れが可能となり、注目を集めています。
東京商工会議所が実施した中小企業6,007社を対象とした調査では、「特定技能外国人の受入れに関心がある」と回答した企業は47.9%で関心の高さが示唆される一方で、「費用負担が過大」(33.1%)、「手続きがよく分からない」(30.7%)、「採用ノウハウがない」(28.4%)、「転職可能な在留資格のため、自社に定着するか不安」(24.0%)など、外国人人材を受け入れるうえで懸念を抱える企業も多いことが分かりました。
特定技能外国人への関心は高いものの、採用経験の無い企業においては、人材の確保に苦戦してしまう可能性があるため、早期に受け入れ体制を整える必要があるでしょう。
参照元:日本・東京商工会議所「多様な人材の活躍に関する調査」調査結果
外国人を雇用する方法
どのようにして外国人を雇用すべきか考えられる方法を整理していきます。これから採用活動を始める企業の担当者は参考にしてみてください。
▼外国人を雇用する方法
- 求人サービスの利用
- リファラル
- 人材紹介会社の利用
上記の方法は日本人を採用する場合と、大きな違いはありません。留意すべきポイントは外国人を雇用する場合、日本人雇用と異なり、諸手続きが発生することや、外国人の求職者とのコミュニケーションコストなどがかかることを想定しておく必要があります。
外国人の採用経験の無い企業は、予算との兼ね合いもあると思いますが、スムーズに採用活動を進めるうえで、人材紹介会社を利用し、自社の求める人物を確保しながら、採用ノウハウを蓄積する方法がおすすめです。
外国人雇用のメリット
- 労働生産性が高まる
- 海外展開のきっかけとなる
- 組織の活性化につながる
企業が外国人を雇用するメリットをいくつか紹介します。
労働生産性が高まる
日本に来日し企業で働くには、厳しい条件をクリアする必要があります。従って、日本企業で働く外国人人材は優秀である場合が多いです。日本語能力をはじめ、仕事においても貪欲にキャッチアップし、成果を残せる人材が多く、企業にとっては、労働生産性を高めるきっかけとなるでしょう。
海外展開のきっかけとなる
事業の海外展開を視野に入れている企業であれば、展開する国の外国人人材を雇用することで、力になってもらえます。また、優秀な人材であれば、自ら諸外国への事業展開のきっかけとなりビジネスを切り拓いてもらえる可能性もあります。
いずれにせよ、海外への事業展開の際には、外国人人材が活躍できるチャンスが広がってくることでしょう。
組織の活性化につながる
組織の活性化という面でも、外国人人材の雇用メリットがあるでしょう。風土や文化の違う海外からの人材を自社の一員として迎え入れることで、日本人社員や組織にはない新たな発想や視点から価値を発揮してもらえます。
新しい意見を取り入れることで、ビジネスが好転したり、事業成長につながったりなど良い影響があります。
外国人を雇用する際の注意点
- 手続きにかかる工数を確保しておく
- 雇用後のフォローアップをこまめに行う
外国人人材を雇用する際の注意点もメリットと合わせて確認しておきましょう。きちんと対策を行えば、組織の中で外国人人材が活躍できる可能性が高まります。
手続きにかかる工数を確保しておく
外国人の雇用においては、採用活動の段階から募集方法、雇用手続き、就労ビザの申請など諸手続きにかかる工数を確保しておく必要があります。手続きに時間がかかったり、ミスが多発してしまうと、候補者のストレスになりかねません。
社内に外国人雇用に詳しい社員がいない場合は、人材紹介会社に依頼したり、雇用の流れを事前に確認したり、準備を綿密に行うことが大切です。
雇用後のフォローアップをこまめに行う
雇用後の段階のフォローアップをこまめに行うことも外国人の雇用において重要です。内定か決定後の入社までのフォローと入社直後は、日本に来て間もない外国人は不安や心配を抱えやすいです。
コミュニケーションをこまめに取り、企業側と雇用する外国人の接点を多く持つことを心がけ、企業に馴染めるように努めましょう。
【ケース別】外国人雇用の流れ・留意点
- 海外在住の人材を正社員として雇用する場合
- 日本在住の人材を正社員として雇用する場合
- アルバイト雇用する場合
- 特定技能外国人を雇用する場合
ここからは実際に、外国人を雇用する際の流れや留意点についてケース別で紹介します。自社に当てはまる人材の雇用の流れを確認していきましょう。
海外在住の人材を正社員として雇用する場合
海外在住の人材を正社員として雇用する場合には、まず「在留資格(ビザ)の有無」を確認しましょう。在留資格を持っている場合で、「永住者」、「日本人の配偶者など 永住者の配偶者など」「定住者」(職種制限無し)以外の在留資格を持っている場合は、職種制限があるため、採用したい職種に該当する在留資格(ビザ)があるのかを確認しておく必要があります。
各在留資格の認められる職種や活動範囲に関する規定については以下をご覧ください。
雇用の流れを以下にまとめます。
▼雇用の流れ
- 事前調査
- 採用選考
- 雇用契約書の締結
- 就労ビザの申請・審査
- 雇用開始
事前の調査では、就労ビザを取得していない人材が取得できる見込みがあるのかを調査します。内定を出しても就労ビザを取得できなければ雇用できません。各在留資格の諸条件を満たす人材を候補者として、採用選考に進めることが大切です。
また、内定を出した人材が入社するまでに就労ビザの申請および審査をする期間が必要ですので、雇用予定者と密にコミュニケーションを取り、連携することが求められます。
日本在住の人材を正社員として雇用する場合
日本在住の人材を正社員として雇用する場合には、保持している在留資格と業務内容が適合するかを確かめ、適合しない場合は在留資格変更許可申請をする必要があります。
アルバイト雇用する場合
アルバイト雇用においては、保持する各在留資格の「資格外活動許可」を申請することでアルバイト可能になります。(週28時間の制限付き)
一部の資格においては、申請において細かな条件があるため、事前に確認しておきましょう。
特定技能外国人を雇用する場合
特定技能外国人を雇用する際の流れを以下にまとめます。
▼雇用の流れ
- 特定技能人材を受け入れられる条件を満たしているかを確認する
- 受入れ機関に求められる雇用条件を整備する
- 採用人材が特定技能資格の要件をクリアしているかを確認する
- 支援計画の作成・実施
- 在留資格の申請
特定技能外国人を自社に迎え入れるためには、上記の手順に沿って手続きを進める必要があります。企業側の受け入れ体制を整備する時間がかかるため、予め工数を確保しておくことが重要です。
外国人を雇用する際に確認すべきポイント
外国人を雇用する際には、様々な手続きが発生するため事前にチェックリストを作成し、確認すべきポイントを整理しておくとよいでしょう。
STEP1.採用選考前
就労ビザの取得状況を確認する
就労ビザの取得状況は採用選考に入る前に必ず確認すべきです。未取得の場合には該当する在留資格を取得できる見込みがあるのかを見極める必要があります。特に職務の専門性および学歴をチェックしましょう。
技能実習の経験の有無を確認する
技能実習生として働いたことのある外国人は、母国の関連職種に就くことが推奨されていますが、再度日本での就職を目指す人もいます。その場合は、技能実習に関連する業務経験も就労ビザの審査に関わってくるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
STEP2.選考中
応募書類の内容が正しいか確認する
応募書類の内容が正しいかを面接冒頭に確認しておきましょう。学歴や経歴を詐称している可能性もあるため、トラブルを防ぐ観点から選考人材にプロフィールをきちんと紹介してもらうことが重要です。
上司や部下になる社員とのコミュニケーションを図る
上司や部下となる社員に面接に同席してもらい、コミュニケーションを取ることには企業と候補者の双方にメリットがあります。企業が受け入れる意思を固めることを伝えることで、候補者の安心感が増し、企業への信頼感が増すことでしょう。また、受け入れ体制のできていない企業の上司や部下の意識付けにもなります。
STEP3.内定後
受け入れ体制を整える
候補者に内定を出した後、企業は受け入れる体制を整える必要があります。手続き上の受け入れ体制は採用選考前に整備しておくのが無難です。特に特定技能外国人の受け入れは、各種手続きが多いため、採用した人材のストレスにならないように手続きを進める必要があるでしょう。
入社予定日までのスケジュールすり合わせておく
入社予定日までのスケジュールもコミュニケーションを密に取り、連携を図りましょう。就労ビザの申請や引っ越しなどのスケジュールを共有し、企業と採用人材の双方で情報のすれ違いやスケジュールの相違がないようにすることが求められます。
ポイントを理解し優秀な外国人を雇用しましょう!
本記事では、外国人雇用の流れについて、日本の外国人雇用の現状から実際の雇用の流れや留意点を解説しました。トラブルや不測の事態が起こりがちな外国人雇用ではありますが、自社に迎え入れることで、大いに価値を発揮してもらえる人材となるでしょう。本記事を参考に外国人の採用に注力してみてはいかがでしょうか。
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