家族滞在ビザで働くには?ビザの解説から働き方、注意点も解説!
家族滞在ビザで在留する外国人家族が、日本で働くためにはどうすれば良いのでしょうか?外国人が日本に在留するために設けられている在留資格(通称・ビザ)は就労条件や滞在期間などが細かく定められており、在留資格を持つ外国人はもちろん、雇用する側も内容を理解しておく必要があります。この記事では、家族滞在ビザの基本情報や就労が可能かどうか、また働くための方法や注意点などを解説します。
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザは、日本に滞在する外国人の家族が国内で一緒に生活するために取得できるビザです。家族滞在ビザでは、家事や育児、通学などの日常生活の範囲内での活動が認められています。該当する外国人が扶養する配偶者や子が対象で、養子や認知している非嫡出子も当てはまりますが、両親や兄弟など扶養していない家族は対象外です。
家族滞在ビザが取得できる職種
家族滞在ビザが取得できるのは、下記の18職種の在留資格を持つ外国人(以下:扶養者)の配偶者及び子供と定められています。
【家族滞在ビザが取得可能な扶養者のビザ】
教授/芸術/宗教/報道/高度専門職/経営・管理/法律・会計業務/医療/研究/教育/技術・人文知識・国際業務/企業内転筋/介護/興行/技能/文化活動/留学/特定技能2号/技能
文化活動と留学以外は就労ビザですが、扶養者が就労ビザの外交・公用・特定技能1号・技能実習1号2号で在留している場合は対象外です。
家族滞在ビザの在留期間
家族滞在ビザの在留期間は、5年、4年3か月、4年、3年3か月、3年、2年3か月、2年、1年3か月、1年、6か月、3か月の11種類です。ただし、扶養者の在留期間と連動するため、扶養者の在留期間が終了すると家族滞在ビザも満了となります。
90日以内の滞在では、短期滞在ビザの取得も可能です。短期滞在ビザは旅行などで用いられるビザで、家族滞在ビザでは認められていない扶養者の両親や親族も来日できます。
家族滞在ビザの取得要件
家族滞在ビザの取得要件は、下記のとおりです。
就労者から扶養を受けている配偶者や子に限る | ・配偶者が扶養者よりも収入が多いなど、扶養者への経済的な依存が認められない場合は対象外(金額設定は特になし)
・子の年齢は概ね18歳まで(明確な上限はなく、経済的に自立していない学生などの場合は18歳以上でも対象になる可能性がある) |
家族で日本で生活できる経済力がある | ・収入の金額的なボーダーラインは定められていない
・課税証明書や納税証明書など経済力を証明する書類を提出し、収入・物価・生活費など総合的に考慮して審査される |
家族関係が証明できる | ・必要書類を提出し審査を行う
・日本語の訳文添付が必要 |
家族滞在ビザの申請方法や必要書類
ここでは、家族滞在ビザの申請方法や必要書類を紹介します。
<海外から家族を呼び寄せる場合>
- 海外の大使館や領事館でビザの申請を行う
- 就労者が出入国在留管理局で家族滞在の在留資格認定証明書を取得し、海外にいる家族がその国の日本大使館に在留資格認定証明書を持参する
【必要書類】
在留資格認定証明書交付申請書/証明写真/返信用封筒/扶養者との身分関係を証明する書類(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚・出産証明書など)/扶養者の在留カードまたは旅券の写し/扶養者の職業及び収入を証する文書(在職証明書または営業許可証/課税・非課税証明書及び納税証明書/奨学金給付に関する証明書など)
<日本に在留している外国人が配偶者となる場合>
- 在留資格変更許可書を出入国管理局へ提出し、既存の在留資格から変更する
【必要書類】
在留資格変更許可申請書/証明写真/扶養者との身分関係を証明する書類(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚・出産証明書など)/扶養者の在留カードまたは旅券の写し/扶養者の職業及び収入を証する文書(在職証明書または営業許可証/課税・非課税証明書及び納税証明書/奨学金給付に関する証明書など)
家族滞在ビザで就労はできるのか
家族滞在ビザでは原則、就労ができません。家族滞在ビザを持つ外国人が働くためには、資格外活動許可の取得が必要です。資格外活動許可には2種類あり、仕事内容に大きな制限はありません。ただし、扶養者より収入が上回る場合は、家族滞在ビザが使用できなくなるので注意が必要です。
包括許可
勤務先や業務内容を特定せず、一般的なアルバイトやパートなどの職に就けます。家族滞在ビザで就労を希望する場合、包括許可申請が必要となる場合が多く、就業先が決まっていなくても申請が可能です。ただし、勤務時間に制限があり、風俗営業や性風俗営業には従事できません。
【勤務可能時間】
週28時間以内
(時給1,000円及び1か月4週間の場合、収入は月11万2,000円となる)
個別許可
個別許可は、指定された勤務先や業務内容に対して個別に出される就労許可です。家族滞在ビザ取得者が、個別事業主や業務委託の仕事など客観的な労働時間の確認が難しい職に就く場合は、個別許可で資格外活動許可を取得します。ただし、新たに法人を設立する場合や従業員雇用、事業所の設立等を行って活動する場合は在留資格「経営・管理」への変更が必要です。個別許可で資格外活動許可を取得した場合、店舗のレジ打ちや工場の流れ作業など単純労働に分類される職種への就労はできません。個別許可申請には資格外申請許可書に加え、業務内容を明確に記載した書類の提出も求められます。また、勤務先や業務内容を変更する場合は許可の再申請が必要です。
家族滞在ビザの就労制限
家族滞在ビザで資格外活動許可を取得して就労する場合は、週28時間以内の就労制限があり、規定の就労時間を上回ると不法就労となります。ここでは、規定の就労時間以上に働きたい場合の対策と、規定の就労時間を超えてしまった場合の罰則を紹介します。
週28時間以上働きたい場合
週28時間以上働きたい場合は、資格外活動許可ではなく「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などの就労ビザへの切り替えが必要です。ただし、就労ビザは就労可能な業務内容に制限があり、許可を受けた業務範囲以外での就労は不法就労となるので注意しましょう。
週28時間以上働いてしまった場合
資格外活動許可で労働時間が一週間で28時間を超えてしまった場合、資格外活動許可違反となり下記の罰則が課せられます。
【雇用側】下記のいずれか、あるいは両方
- 3年以下の懲役もしくは禁固
- 300万円の罰金
【労働者側】
- 日本からの強制退去
- ビザの更新時に影響が出る可能性がある
家族滞在ビザ取得の外国人を雇う時の注意点
家族滞在ビザの資格外活動許可を得ている外国人を雇うときは、下記の点に注意しましょう。
確認事項 | 確認理由 | 特記事項 |
在留資格の確認 | 不法就労を防ぐため、在留カードの原本と在留期限を確認 | 在留カードの裏面の下に「許可:原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と
・記載がある…資格外活動許可を取得済のため、すぐに就労が可能 ・記載がない…資格外活動許可の申請を行い、申請許可が降りてから就業を開始する |
他のアルバイト等をしていないか確認する | 資格外活動許可で定められている週28時間の就労制限は、就労している全ての仕事を合わせた時間 | 一つの就業先では規定の就労時間内の労働でも、全体で週28時間を超えてしまうと不法就労になる |
規定の就労時間を超える場合は、就労ビザに切り替える | 包括許可は週28時間以上働けないため、超過する場合は在留資格を切り替える | 就労ビザは学歴や業務内容などに規程・制限があるため、事前に取得可能か確認が必要 |
離婚した場合は在留資格を変更する | 離婚すると扶養家族ではなくなり、家族滞在ビザが使用できなくなる | 家族滞在ビザの取得者が離婚後、日本での就労を続ける場合は在留資格の変更が必要 |
家族滞在ビザから在留資格変更を行う場合
家族滞在ビザで在留していた子供が日本で就職を希望する場合、就労経験などの要件に満たないため就労ビザは取得できません。家族滞在ビザ取得中に日本での就職が決まったら、該当する在留資格変更手続きを行いましょう。
在留資格「定住者」
在留資格「定住者」は身分系在留資格の一つで、下記の要件を満たせば取得が可能です。在留期限はありますが、在留期間内の就労制限はありません。
- 日本の義務教育(小・中学校)を修了している
- 日本の高等学校を卒業している、もしくは卒業見込み
- 家族滞在ビザで滞在している
- 入国時に18歳未満である
- 就労先が決まっている
- 公的義務を履行している
在留資格「特定活動」
日本の義務教育を修了していない外国人が高校卒業後に国内で就職する場合は、下記の要件を満たしていれば在留資格「特定活動」に資格を変更できる可能性があります。特定活動は、申請者の活動内容に応じて個別に許可される特殊な在留資格で、許可の内容によっては就労も可能です。
- 日本の高等学校を卒業している、もしくは卒業見込み
- 扶養者が身元保証人として日本に在留している
- 家族滞在ビザで滞在している
- 入国時に18歳未満である
- 就労先が決まっている
- 公的義務を履行している
特定技能1号外国人の家族同帯は、原則認められていません。そのため、留学生として在留していた扶養者の在留資格が特定技能1号に変更になった場合は、家族滞在ビザで在留していた配偶者や子供は在留資格を失いますが、この場合に限り特定活動に在留資格を変更すれば引き続き家族の国内滞在が可能です。
まとめ
家族滞在ビザは、原則就労が認められていませんが許可申請をすれば就労が可能です。また、近年では扶養者の子供が国内で働くための資格変更も可能となってきたため、外国人の就労の幅が広がってきています。
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